電動スライドドアとは?主な機能や片側と両側の違い、動かない原因
電動スライドドアは普通車にはもちろん、いまでは軽自動車にも採用されている装備です。
一方で、電動スライドドアが車選びで優先すべき装備なのかどうかは、判断がつきにくいところです。また、すでに電動スライドドアの付いた車に乗っている方にとっても、ドアの動きが鈍くなったときに何が起きているかなど、わからない方も多いでしょう。
この記事では、電動スライドドアに備わる機能やメリットとデメリット、片側と両側の違い、動かなくなったときに考えられる原因まで解説します。
電動スライドドアとは
電動スライドドアとは、後席のスライドドアをモーターの力で開閉できる装備です。電動スライドドアを開閉できるのは、ドアハンドルのスイッチ、スマートキー、運転席のスイッチなど複数の場所です。
なお、電動スライドドアにも、後席の片側だけが電動のもの(片側電動スライドドア)と、両側とも電動のもの(両側電動スライドドア)があります。
片側だけが電動の場合、助手席側に設定されていることが多いとされています。これは、日本の道路では同乗者が左側から乗り降りする場面が多いためです。
電動スライドドアには、電動の機能を切って手動でのみ開閉する状態に切り替えるスイッチが用意されています。
くるまのハヤシの公式サイトでは、後席の片側だけが電動のもの(片側電動スライドドア)が装備されている在庫車に「電動スライドドア」、両側とも電動のもの(両側電動スライドドア)が装備されている在庫車に「両側電動スライドドア」と記載しています(「装備情報」の欄)。


電動スライドドアに備わる主な機能
電動スライドドアは、車種やグレードによって備わる機能が違います。ここでは、代表的な4つの機能を紹介します。
挟み込み防止機能
挟み込み防止機能は、電動スライドドアが閉まる途中で一定以上の力が加わったときに、電動スライドドアをわずかに反転させて止める機能です。
挟み込み防止機能があることで、子どもや高齢の同乗者が乗り降りしている最中に、電動スライドドアへ挟まれる危険を減らせます。
ただし、電動スライドドアが完全に閉まる直前に物を挟んだ場合や、挟まれた物の形状によっては、挟み込み防止機能が作動しないことがあると、メーカー自身も案内しています。挟み込み防止機能があるからと油断せず、同乗者が乗り降りしている間は電動スライドドアの動きを見ておきましょう。
予約ロック機能
予約ロック機能は、電動スライドドアが閉まりきる前に施錠の操作をしておくと、閉まったあとに施錠される機能です。予約ロック機能の名称は、メーカーや車種によって異なる場合があります。
予約ロック機能の操作は、携帯リモコンで施錠するものと、フロントドアハンドルで施錠するものの2通りです。
予約ロック機能を使えば、雨の日や、子どもを乗せてすぐ運転席へ回りたいときなど、電動スライドドアが閉まりきるのを待たずに車を離れられます。
ハンズフリー機能
ハンズフリー機能は、足先をセンサーにかざすだけで電動スライドドアを開閉できる機能です。センサーはフロントドアの後方、車体の下部に設けられており、スマートキーを持った状態で足先を出し入れすると電動スライドドアが開閉します。
ハンズフリー機能を使えば、買い物帰りや送り迎えなど、両手がふさがる場面で、手を使わずに電動スライドドアを開けられます。
一方で、ハンズフリー機能を日常的に使う頻度は人それぞれです。ハンズフリー機能は、車種やグレードによって、標準で備わっている場合と、オプションとして追加する場合があります。オプションとしてハンズフリー機能を追加する場合は、費用がかかるため、両手がふさがる場面が自分の生活でどれだけあるかを考えてから決めるとよいでしょう。
半ドア防止機能
半ドア防止機能は、電動スライドドアが半ドアの状態になったときに、自動で引き込んで閉まりきった状態にする機能です。半ドア防止機能の名称は、メーカーや車種によって異なります。
電動スライドドアは閉める操作もモーターが行うため、閉め方が原因で半ドアになることはほとんどありません。車種によっては、電動の機能をオフにしていても半ドア防止機能が作動します。
ただし、ドアハンドルを操作したまま電動スライドドアを閉めたときは、半ドア防止機能が作動しないことがあります。半ドアになってから半ドア防止機能が作動し始めるまでには、数秒ほど必要です。
電動スライドドアのメリット
電動スライドドアの利点は、大きく3つの場面に表れます。
隣の車や壁が近い駐車場でもドアを開閉できる
スライドドアは車体に沿って動くため、区画が狭い立体駐車場やコインパーキングでも、隣の車や壁にドアを当てる心配が減ります。子どもが自分でスライドドアを勢いよく開けたときや、風の強い日にあおられたときも、外側へ開くことはありません。
そのうえ、電動スライドドアであれば、自分でスライドドアを引かずに済みます。手動スライドドアはドアハンドルを握って後ろへ引くため、体を動かせるだけのすきまが必要です。一方、電動スライドドアはスイッチに触れるだけで開くため、隣の車や壁が近く、立つ場所が限られていても開閉できます。
両手がふさがっていてもドアを開閉できる
ドアハンドルのスイッチやスマートキーの操作でドアが開く電動スライドドアは、荷物を抱えているときや子どもを抱いているときでも、いったん荷物を置いて手でドアを引く必要がありません。
両手がふさがりやすい場面が多いほど、手動スライドドアとの使い勝手の違いが出ます。
子どもや高齢の同乗者が乗り降りしやすい
スライドドアはヒンジドアより開口部が広く、体をかがめずに後席に正面から乗り降りできます。子どもや高齢の同乗者に手を添えるスペースを取りやすいのは、介助する側にとっても利点です。
電動スライドドアであれば、子どもや高齢の同乗者でも、乗り降りする本人が自分で開閉できるという利点が加わります。手動スライドドアは体重をかけてドアを引くことになり、力の弱い人には重く感じられがちです。
なお、スライドドアの開口部の広さや、足腰への負担を左右する床面の高さは、車種によって異なります。気になる車があれば、実際に乗り降りのしやすさを確かめてみてください。
電動スライドドアのデメリット
電動スライドドアのデメリットは、車両価格の高さと維持費の観点から、大きく3つあります。
車両価格が高くなる
電動スライドドアには、モーター・配線・センサーなど、手動スライドドアにはない部品が必要です。それらの部品の分だけ製造にコストがかかるため、同じ車種でも電動スライドドアが付くグレードは車両価格が高くなります。
同じ車種のグレード表を見比べると、電動スライドドアの有無で車両価格に差が出ていることがわかります。
電動スライドドア・手動スライドドアのどちらが合っているかは、日常の車の使い方しだいです。車両価格の差に見合う電動スライドドアの利便性を実感できそうか、普段の乗り降りの様子を振り返って検討してみてください。
車両重量が増えて燃費性能が不利になる
電動スライドドアの部品が増えれば、その部品の分だけ車両重量も増えます。車両重量は燃費性能に影響するため、同じ車種でも、両側とも電動のグレードは片側だけが電動のグレードよりカタログ燃費が不利になることがあります。
ただし、マイルドハイブリッドなどの技術を採用した車種では、装備を充実させても燃費性能が落ちるとは限りません。燃費性能を重視する場合は、グレードごとの燃費性能の数値を見比べてみてください。
部品が増える分だけ故障のリスクがある
年数や走行距離を重ねると、モーター・配線・センサーなどの部品に不具合が出る可能性があります。手動スライドドアであれば起こらないトラブルが、電動スライドドアでは起こりえます。
加えて、電動スライドドアは構造が複雑な分、修理には専門的な作業が必要です。費用もかさみやすくなります。
長く乗るつもりの車であれば、購入時の車両価格だけでなく、修理にかかる費用も含めて判断するとよいでしょう。
片側電動スライドドアと両側電動スライドドアのどちらを選ぶ?
電動スライドドアを片側だけにするか両側にするかは、装備としての優劣ではなく、駐車環境と後席を使う頻度で決まります。なお、片側と両側のどちらにするか迷ったときは、実際に乗り降りして使い勝手を確かめるのもよいでしょう。
片側電動スライドドアが向いている場合
自宅の駐車場が壁際に寄っていて片側のスライドドアしか開けられない、同乗者が助手席側からしか乗り降りしない、という使い方であれば、片側だけが電動でも不便を感じにくいでしょう。
運転席側が手動であることを利点と考える方もいます。スライドドアを素早く閉められることや、子どもが車内から勝手に開けにくいことを重視する場合です。
両側電動スライドドアが向いている場合
子どもを抱いて乗り降りする機会が多い、買い物などで左右どちらからも荷物を出し入れする、という使い方であれば両側電動スライドドアが向いています。
後席に人を乗せる頻度が高く、左右から同時に乗り降りする家庭でも、両側とも電動のほうが待ち時間が減ります。
電動スライドドアが動かないときに考えられる主な原因
スライドドアが電動で開閉できなくなったときに考えられる、3つの主な原因を紹介します。
レールにゴミなどが挟まっている
電動スライドドアの動きが徐々に重くなってきた場合は、レールに入り込んだゴミなどが原因のことがあります。砂や落ち葉、髪の毛などが噛み込むと、スライドドアは滑らかに動きません。
電動スライドドアの動きが重い、開閉のときに異音がする、という段階で気づけば、レールの掃除で改善する場合があります。目に見えるゴミを取り除く程度であれば自分でもできるため、洗車のついでにレールを見ておきましょう。掃除に潤滑剤を使う場合は車種によって指定があるので、取扱説明書で確かめてから使いましょう。
モーターやワイヤーの不具合
電動スライドドアが電動では開かないのに手動では開く場合は、モーターやワイヤー、配線に原因があることがあります。動力を伝えるワイヤーが切れたり、電気を送る配線が断線したりすれば、電動での開閉はできなくなるためです。
また、事故などで車体やレールにゆがみが生じたときは、電動スライドドアが開閉の途中で引っかかることがあります。
このように、電動スライドドアが電動で開かない原因は外から見て判断するのが難しく、部品の交換・調整が必要になります。無理に動かそうとすると別の箇所を傷めることがあるため、整備工場で点検を受けてください。
くるまのハヤシ(車検の速太郎)でも、電動スライドドアが動かない原因の点検や、部品の交換・調整を承っています。車の状態や車種をもとに、無料で見積もりを実施できます。
スイッチの設定や車の状態によるもの
電動スライドドアの電動の機能がスイッチで切られていると、当然ながら電動では開閉できません。
ただし、電動のスイッチが切られておらず、故障もしていない電動スライドドアでも、次のような理由で開閉しないことがあります。
- シフトをPに入れる、パーキングブレーキをかける、ブレーキペダルを踏む、のいずれもしていないとき
- 傾いた場所に停めているとき
- 人や荷物がセンサーに触れているとき
- スライドドアが全開でも全閉でもない位置で止まっているとき
- 給油口のふたが開いているとき
電動スライドドアが開閉する条件はメーカーや車種によって違うため、取扱説明書を確かめてください。
また、チャイルドロックが効いている場合も、車内側からスライドドアを開けられません。さらに、長く乗っていない車では、ゴムのパッキンが張り付いてスライドドアが開きにくくなっていることもあります。気温が低い時期に、スライドドアの動きが普段より遅く感じられることもあります。
ここで挙げた原因によって電動スライドドアが開閉しない場合は、部品の交換を必要としないことがほとんどです。電動スライドドアの修理を依頼する前に、これらの原因に当てはまっていないかを見ておきましょう。
電動スライドドアを使うときの注意点
電動スライドドアは便利な装備であるからこそ、日常のなかで確認がおろそかになりやすい場面があります。ここでは、気をつけたい場面を3つ取り上げます。
子どもの飛び出しと指の挟み込み
電動スライドドアは開口部が広く、開けたときに子どもが勢いよく外に飛び出しやすくなります。電動スライドドアを開ける前に、周囲へ車や人が来ていないかを確かめてください。
また、挟み込み防止機能が備わっていても、電動スライドドアが閉まりきる直前に指を挟んだ場合には、挟み込み防止機能が作動しないことがあるため注意が必要です。
車から乗り降りする間は、電動スライドドアの開閉スイッチを子ども任せにせず、大人が操作してください。
駐車場のフラップと車体の下
コインパーキングでは、駐車すると車体の下でフラップが上がります。この状態でスライドドアを閉めると、スライドドアの下部がフラップに接触する恐れがあります。
手動スライドドアであれば当たりそうになった時点でスライドドアを止められますが、電動スライドドアはとっさに止めにくいため、傷が大きくなってしまう場合があります。
フラップのある駐車場では、電動スライドドアを開閉する前に車体の下へ目をやりましょう。
電動スライドドアが閉まりきったことの確認
電動スライドドアの挟み込み防止機能が働くと、スライドドアは閉まる途中で反転して止まり、閉めたつもりでも閉まっていない状態になりえます。また、電動スライドドアは基本的に、スイッチ操作のみで閉められるため、手動スライドドアを閉めたときのような手応えがありません。この場合も、電動スライドドアが閉まりきっていないことに気づきにくく、そのまま走行してしまう可能性があります。
電動スライドドアが開いたままだと警告が出る車もありますが、音楽の音量が大きいときなどは気づかない場合もあります。発進する前に、電動スライドドアが閉まりきったかを目で確かめる習慣をつけてください。
